今回は、需要予測の「需要」について考えてみましょう。

需要情報には、「受注」「需要予測」「需要計画」「販売計画」という4種類があります。

これらは、それぞれ独立して存在するわけではなく、相互の関連もあります。

このため、その関係性を紐解き、定義していかなければ、まともな需要情報にはなりません。

あちこちの組織でそれぞれの思惑で意思が込められ、需要情報がどんどん歪んでいくことが多くの企業で見受けられます。

需要情報はきちんと分解して定義し、それぞれを識別して検討することが重要です。

「受注」の定義

受注とは、顧客からの確定情報になります。

需要情報としては、もっとも頼りになるものです。(もちろん、変更を頻発させる顧客もありますが。)

受注生産であれば、受注した数量にしたがってモノを作るので、最終製品の需要情報=受注と考えてもいいでしょう。

しかし、多くの場合は顧客の注文に関するリードタイム(所要時間)が非常に短く、見込み生産により事前に製品在庫を準備しなければならないケースが多くなります。

この場合は、需要予測や需要計画で計画的に需要情報を決めて生産することになります。

受注は、需要予測や需要計画などで取り決めた「計画値」としての需要情報が確定された状態と考えることができます。

したがって、受注した期間の需要情報は、需要予測や需要計画を洗い替える需要情報と考えられます。

受注実績として、「計画値」が「実績値」になるのです。

受注が「計画値」としての需要予測や需要計画よりも大きければ、洗い替えをしても問題はありません。

例えば、需要計画を100としたところ、受注が120きたので、需要情報は100→120に洗い替えて、外れた分を安全在庫でカバーできたかどうかを検証することになるのです。

しかし、少なかったらどうでしょうか。

需要計画が100で、受注が60だったら、60に洗い替えていいのでしょうか。

タイミングにもよりますが、まだ受注する期間が残っている場合、100になる可能性があるため、洗い替えません。

しかし、もうすでに受注が増えることがないと想定できるタイミングであれば、60に洗い替えて、計画以上に在庫が余ったとするのが正しいでしょう。

受注は需要予測や販売計画で確定されたものですが、どのタイミングでどの情報を需要情報としてとらえるのか、きちんと検討することが需要予測業務の最初のポイントとなります。

受注生産でない限り、計画的に生産・調達をしなければならないので、必要なサイクル在庫のインプットである需要情報として、「需要予測」か「需要計画」か「販売計画」を使わなければなりません。

これらは、明確に定義されずに使われることがよくあり、後々、混同を招くことがあります。

言葉が曖昧ということは、業務自体が曖昧ということになるので、本ブログでは明確に定義して使っていくことにします。

「需要予測」「販売計画」「需要計画」の定義

需要予測:需要数量を予測したもので、業務に携わる人の意思が入っていない機械的な予測値
販売計画:需要予測を営業が補正し、売る意思をもった数値として定義した計画値(品目・カテゴリー*得意先)
需要計画:販売計画に、需給部門が拠点の概念をもって意思をいれた計画値(品目*拠点)

販売計画は予算の概念に近く、「売りたい数字」を意味しています。

しかし、需要予測、需要計画は、「売れる見込みの数字」を指しています。

予算や販売計画と需要計画とのギャップを常に捉え、ギャップ分析を行い、適切なアクションと施策・実行につなぐことができれば、最適なセールスミックスを実現することが可能です。

具体的には、予算として、特定のカテゴリーで1000売りたい例を考えます。

すると、それを品目に分解して、販売計画として100売ることを考えます。

しかし、システムやモデルで計算された需要予測値は80となっています。

このギャップ20をどうするのか、営業部門と需給部門で相談をし、100売り切るのか、80に目標を下方修正するのか、合意していくことがとても重要なのです。