私は20年近くコンサルタントという職業を続けています。

コンサルティング業は、いろいろと苦労もありますが、さまざまな業種・ソリューションを吸収することができ、とても崇高な職業だと思っています。

会社や勤務形態は変われども、私は、これからも、コンサルタントという仕事を続けていきたいと考えています。

コンサルティングの醍醐味

ここで、あなたにひとつ質問です。

コンサルタントの仕事をしている中で、一番嬉しいのはどんなときだと思いますか?

・上司の喜ぶ顔がみたい人
・自分のスキルをあげて喜ぶ人
・同僚と切磋琢磨するのが楽しい人

人によって価値観は異なるかと思いますが、私は、顧客の喜ぶ顔を見るときが一番嬉しいです。

お客さんから

「ありがとう。助かったよ。」

と言われることが、一番嬉しいです。

このときのために、苦しいプロジェクトや嫌な作業も、難しい調整ごとも、なんとかこなしているといっても過言ではありません。

顧客ファースト。

そんなこと、当たり前じゃないの?

そう言う人も多いかと思います。

では、顧客というのは、トップマネジメントのことなのか、現場の担当者のことなのか、一体どちらを指しているのでしょうか。

全員が笑顔でハッピーエンドであれば嬉しいですが、業務改革にはそれなりの犠牲がつきものです。

大胆な業務改革を進めて財務的な効果をだすと、トップマネジメントは喜びます。

しかし、現場の担当者は、改革により、作業手順がぐちゃぐちゃになり、不満を言ってきます。

逆に、現場の担当者が楽になるように効率化を進めると、部分最適ということで、トップマネジメントが不満な顔をします。

この両者をちょうどいい感じで喜ばせることは、とても難しいです。

これをうまく調整し、無難な落としどころにもっていくのが、コンサルティングの醍醐味なのです。

これをうまく進める方法は、どの教科書にも書いてないので、ケースバイケースで人間関係をうまく調整していくしかありません。

ここにコンサルタントの人間力・調整力が試されると、私は思っています。

ロジカルシンキングや会計知識も重要ですが、この人間力・調整力が、プロジェクト成功のためには不可欠なのです。

測定しづらいマネジメント能力

昔、私の先輩で、Aさんという何の専門性もない人がいました。

英語はできない。システムは分からない。会計は分からない…。

ただ、Aさんは、性格がよかったので、いろんな人から好かれていました。

このため、Aさんの部下には、英語のできる人、システムに強い人、会計に強い人、お酒に強い人…いろんな優秀なメンバーが揃っていました。

そして、みんな口を揃えて、Aさんと一緒に仕事がしたいと言うのです。

Aさんは、仕事を完全にメンバーに任せていて、細かい話はすべて

「俺、分からないから・・・。」

で済ませていました。

当時、若かった私は不思議に思いました。

「分からない。」

このような言葉を連発する頼りなさそうなAさんが、なぜ、メンバーやお客さんから、こんなにも高い評価を得ることができるのか。

当時の私は、全く理解できませんでした。

ところが、Aさんには、人並み外れた人間力・調整力が備わっていたのです。

キーマンには本音で会話をし、抑えるところはきちんと抑え、どうでもいいことはさらっと流す。

最終的に、枝葉を捨てて、分からないようにおいしい果実だけを食べていく。

物事の優先順位をつけるのも早く、打ち合わせでも、空気を読む能力が高かったのでしょう。

Aさんには、華麗な学歴も資格もありませんでした。

ただ、なんとなく、その場の空気を読んで、プロジェクトをうまく進めることができ、お客さんと強い信頼を構築することには長けていたのです。

これがプロジェクトマネジメントの実務能力であり、超重要なスキルであると気づくのに、私は5年ほどかかりました。

コンサルタントを使う立場にある事業会社の人は、この測定しづらい人間力・調整力を、面談等でうまく見抜く必要があります。

目先だけの職務経歴や資格に惑わされないように注意することが重要だと思います。