SCM(サプライチェーン・マネジメント)という言葉が、一世風靡したのは、今から15年以上前、2000年頃になります。

「パッケージソフトウェアさえ導入できれば、SCMはすべて成功する。」

という神話のような打ち合わせが、あちこちでなされていました。

私もそのブーム中にいた1人であったことに間違いありません。

しかし、私は、需要予測に限っては、SCM等のパッケージソフトウェアに依存せず、業務改革のひとつとして捉えることが重要だと思っています。

パッケージソフトウェアを導入しさえすれば、SCMはうまくいくという甘い考えは、捨てる必要があるでしょう。

需要予測パッケージとは

「需要予測パッケージ」とは、販売や出荷の実績をもとに、需要の予測値を出力する仕組み・システムのことを指します。

統計予測を使うにあたっては、まずインプットとなる販売実績の異常値を除去する機能が必要になります。

実績値には、ビジネス上で生じた突発的な需要や異常値、偶然による異常値が含まれているので、これを除去しないと、正しい予測値が出力されない可能性があるからです。

しかし、この異常値をシステム上で除去できず、データを読み込む前に加工する必要がある需要予測パッケージもあります。

需要予測パッケージに搭載されている統計予測モデルは、簡易なものから複雑なものまでさまざまです。

実務担当者は、よく使うモデルについては、パラメータのメンテナンス方法を理解しておく必要があります。

しかし、パッケージに含まれているすべてのモデルを理解する必要はありません。

統計予測モデルの選択に関しては、自動でパッケージシステムが選択してくれるものと、人間が選択し、パラメーター調整まで行うものがあります。

どちらが優れているとは言えませんが、モデリングで楽をしたいのであれば、統計予測モデルの自動選択機能のほうが便利です。

ただし、予測値の根拠について、経営層に説明しづらいデメリットもあります。

需要予測後、人為的に予測値を補正しなければならないケースもあるかと思います。

マーケティングなどのビジネス活動にともない、拡販が起きたり、あるいは人為的に出荷止めが起きたりする可能性があるためです。

こうした特殊需要を反映させる機能も必要となるでしょう。

また、統計予測モデルが使えない予測、例えば、新商品の予測については、人的予測に頼らざるを得なくなります。

この人的予測の入力を一切受け付けないパッケージもあれば、人的予測ができ、統計予測と同じレベルで「見える化」できるパッケージもあります。

需要予測パッケージを導入するにあたって

需要予測システムとして販売されているパッケージは数多くあります。

しかし、当然、パソコン単体にインストールしてそのまま使うことは困難で、最新の販売実績データなどを受け渡すインターフェースの開発が必要となってきます。

簡単な予測モデルであれば、パッケージに頼らなくても、エクセル等の表計算ソフトでも十分対応可能です。

実際に、多くの企業では、表計算ソフトで需要予測を行なっています。

表計算ソフトの良い点は、安価で、ユーザーが自由にいじれるところです。

手軽さという意味で表計算ソフトには利点があります。

しかし、フォーマットのメンテナンスに無駄に工数がかかったり、予測業務が担当者依存となり、ブラックボックス化して業務品質が維持できなくなったりするリスクもあります。

在庫管理の実務で必要とされる需要予測システムに、あまり高度な統計予測モデルを使うかどうかは議論が必要です。

あまり高度な統計予測モデルを使うと、予測結果を解釈できず、モデルの維持や運用も大変になります。

本当に自社の需要予測業務に、高度な統計予測モデルが必要なのか、運用し続けていけるのか、きちんと検証することが重要です。

「予測精度さえ向上すれば、SCMはうまくいく。」

と言う人がたまにいますが、神様でもない限り、予測が100%当たることはありません。

100%予測当てることに重きを置くと、不毛な作業になる可能性があります。

それよりも、予測が外れた時に備えて、俊敏な対応力をつけるほうが先決だと思います。