SCM(サプライチェーンマネジメント)と経営を連動させるために、S&OPに取り組む会社が増えてきています。

日本は製造業立国と言われるように、非常に優秀な製造技術をもっており、高度経済成長を支えてきました。

戦後の大量生産・大量消費の時代は終わりを告げ、最近は、消費者志向の多様化・複雑化によって、需要を読むことが非常に難しくなってきています。

従来は、SCMといえば、平準化生産をはじめとする製造工程の改善や物流業務の最適化などが改革テーマとなってきました。

しかし、最近は、製造よりも、むしろ、販売・マーケティングの領域に制約が移ってきているのです。

単なる需要予測だけでなく、販促効果を可視化する、TPM(トレードプロモーションマネジメント)という考え方トレンドになりつつあるのです。

TPM(トレードプロモーションマネジメント)とは

トレードプロモーションとは、メーカーが卸売業者や小売業者に対して行う販売促進活動のことを言います。

卸売業者や小売業者に対して、メーカーが、自社商品を店頭に置いてもらうために、より積極的に販売を行ってもらうための諸活動のことを指しています。

具体的には、

・フォワードバイイング(特売期間に必要量を超える商品を購入すること)
・アローワンス(メーカーが商品を販売してもらうために販売先に支払う協賛金のこと)
・リベート(商品を取り扱ってもらったことに対する支払いのこと)
・値引きの設定、イベントの開催、商品や市場に関する情報の共有

などの取り組みを挙げることができます。

ちなみに、同じ販売促進活動でも、小売業がメーカーと共に消費者向けに行うプロモーションのことは、セールスプロモーションと言って、トレードプロモーションとは区別しています。

販促活動に関する課題

販促活動が肥大化し続けている現状を改善するために、大手企業では、販促管理専用のソフトウェアを活用し始めています。

ただし、販促活動の管理やお金の管理ではありません。

販促の有効性、製品の整調性、顧客別の収益性など戦略上の意思決定を支援する機能が求められてきているのです。

大手企業が抱える、販促活動における問題点を3つ紹介します。

①販促効果の測定が困難

トレードプロモーションにいくら投資しているかは、金額的に把握している会社は多いと思います。

しかし、そのおかげでどれくらいの効果があったのか、つまり投資対効果や利益増分に関しては測定できていないことが多いのではないでしょうか。

その理由は3つあります。

・キャンペーン期間中の消費者購入情報は小売店から入手する必要があるので、小売店ごとに契約・データ加工の作業が必要となる
・プロモーションを実施したときの効果と、何もしないときの効果(ベースライン)を分離することが困難である
・競合の施策や天気の変化など、要因が複雑に絡み合っており、販促だけによる効果を算出することが困難である

②戦略と実行とのギャップがある

戦略レベルでの中長期計画・年次計画と、現場の担当者が日々実行している計画との間にギャップが発生しているケースが多いです。

これは、現場の担当者は目先の売りたい商品を売るのに対して、それが会社の戦略と一致しないケースが多いためです。

③販促管理のルールがない

メーカーの販促計画が、複数のカテゴリーや小売業者、地域をまたぎ多方面にわたるため、首尾一貫とした販促の管理をすることが非常に困難になってきています。

営業マンによる販促活動の入力や設定のルールのバラバラで統一化されていないため、データの精度が非常に低い状況となっています。

また、専任の分析アナリストも配置されていないことが多いです。

TPM(トレードプロモーションマネジメント)の今後

今後、販促費をマネジメントしていくことは、経営上の重点取り組みとなってくると思われます。

業種・業態によっては、その額を無視できないレベルになってきているためです。

メーカー間の競争が激化していることと、小売店の販売力シフトに伴い、販売コストの一部として、販促費のマネジメントを織り込むことは避けられなくなってきています。

上記3つの課題を解決するために、データ入力の徹底といったチェンジマネジメント系の改革や、データ精度の向上・蓄積、販促効果の測定ロジックを詰めていくことが必要になってくるでしょう。

幸い、データ量の増加に伴い、ビッグデータやオンラインメモリーの技術も向上してきていますので、基盤としてのITは整備されつつあります。

各種シナリオを検討することのできるシミュレーション機能が必須になってくるでしょう。

そして、この販促計画が、販売計画にも盛り込まれ、需要予測とともに、SCMのインプットとなっていくと思われます。

プロモーション管理によって、需要を創造していく日は近いのかもしれません。