”人工知能(AI)”

最近、ビジネス雑誌を立ち読みすると、ほぼ確実に引っかかるキーワードです。

囲碁や将棋といったルールや盤のある世界では、AIの技術は、既に人間の世界を脅かしつつあります。

しかし、ビジネスの世界では、不確実性の高いものが、ルール無用で、より複雑に絡み合っています。

そのような世界の中においては、AIの開発は、一体どこまで進んでいるのでしょうか?

各企業もAIの導入には興味があり、現在活動中だと思われます。

そして、実際のところ、どこまで進んでいるのか、公開しているところは少ないです。

今回は、私が専門とする需要予測の分野について、AI活用への道筋を書いていきたいと思います。

需要予測業務の限界

私は、90年代後半からおよそ20年にわたり、需要予測の領域に携わってきています。

最初の頃は、SCMのブームということもあり、過去の販売実績データをもとに、移動平均法や指数平滑法といった時系列予測を搭載しているシステムがもてはやされました。

需要予測のロジック自体は、エクセルでも実装可能なものでした。

しかし、販売管理や在庫管理といった実行系の基幹システムと連携させることができる、大手のパッケージシステムの人気が高かったような気がします。

しかし、2000年代半ば以降は、SCMの効果自体に疑問を感じる会社が多くなってきました。

もともと、予測は100点をとれないものです。

ところが、予測が外れたことの責任がシステムだという風潮になってきたのです。

もうお分かりだと思いますが、予測はシステムを導入しただけではうまくいかないのです。

マスタのメンテナンスや、外的要因の影響分析、キャンペーンの感度分析など、システム外で、精度向上へ向けたさまざまな活動が必要になってくるのです。

先進的な企業では、これらのことを踏まえて、各種データ分析に力を入れるようになってきました。

ただ、現業が忙しいということで、データ分析は後回しにされている企業が多いのが現状です。

AIの活用方法

AIは発展途上の技術です。

予測の実績の差を見て、自動補正をかけていくものから、過去のデータパターンから新しいパターンを抽出するものまで、さまざまな種類のものがあります。

とりわけ、需要予測分野では、過去に前例のない新商品の予測の難易度が非常に高いわけですが、この分野にAIの期待が高まっていることが分かります。

しかし、私は、過去のパッケージブームと同様、AIの導入の仕方には、コツがあると思っています。

具体的には、次の3者が力を合わせていけるような体制を構築する必要があると考えています。

①ビジネススペシャリスト(ブランド、カテゴリーなどの特性、新商品、市場の動向など、ビジネス領域に明るく、仮説を立案できる人)
②データサイエンティスト(ビジネス仮説に基づき、必要となるデータの要件を定義でき、実際にデータ分析ができる人)
③AIシステム(膨大なデータの中から、パターンや法則を見つけ出すためのエンジン)

よく勘違いするのが、③だけを導入すれば、すべて終わりと思っている人が多いことです。

たしかに、あと100年後の世界であれば、③だけで大丈夫なのかもしれません。

しかし、現在の状況について言えば、①と②がしっかりと配置されていなければ、③も無用の長物になりかねません。

①は、営業部門やマーケティング部門、企画部門の中からエースをアサインします。

②は、理系出身で統計に詳しい人をアサインします。

①と②は、できる人であれば、兼務でも構いませんが、この領域は、専門性が高く、属人化しやすいので、できれば、役割分担をして複数人のチームで取り組むようにすることをおススメします。

②の人材は、会社内になかなか見つからないと思われます。

そこで、最初は、私のような外部のコンサルタントを雇って、内部の人間と一緒に進めていく形式でもいいと思います。(①は外部の人間よりも、内部の人間のほうが圧倒的に詳しいと思います。)

3者による協力体制を構築できること。

これが、AIを需要予測領域にうまく活用していくことのできる秘訣だと思っています。