私の本業である業務改革コンサルティングのひとつの考え方として、

「TOC理論」

という方法論があります。

理論自体は少し古い話になりますが、今回はこのTOC理論について紹介していきたいと思います。

ボトルネックの考え方

ある工場で1日で生産できる数量は、ボトルネックによって決められてしまいます。

どんなに能力がある機械や人がいても、工場の生産数を決めてしまうのは、能力が低いボトルネックになってしまいます。

何の話だか、よく分からないですよね。

生産管理の専門家の間では、このボトルネックという言葉が日常用語になっています。

ひとつ例を挙げます。

ある工場は、ベルトコンベアでモノを生産していると仮定します。

すると、ベルトコンベアが流れるスピードが最終的な生産数を決めることになることは、容易に理解できると思います。

1時間に10個できれば、5時間で50個できます。

この1時間に10個できるということを決めているのが、ボトルネックにあたる機械か作業員だということです。

仮に、ボトルネックが作業員であると仮定します。

ベルトコンベアにはAさん、Bさん、Cさんの3人が並んでいたとします。

Aさんは1時間に3個、Bさんは2個、Cさんは1個、作る能力があるとします。

このとき、Aさんが3個作っても、Bさんで2個に減って、Cさんに来たときには1個に減ってしまいます。

つまり、もっとも優秀なAさんが工場の生産能力を決めるのではありません。

もっとも能力の低いCさんが、工場の最終生産量を決めているのです。

この場合、Cさんのことをボトルネックと呼んでいます。

最終生産量はボトルネックであるCさんによって決まるのです。

この工場では、もっと生産できたかもしれないのに、ボトルネックであるCさんの能力に左右されてしまっています。

Aさんががんばっても、Bさんががんばっても、結果としてはムダな作業になります。

「ザ・ゴール」から学んだこと

実は、日本の工場では、昔から、こうしたボトルネックに注目することが、当たり前のように行われていました。

ボトルネックとなる設備や作業員をもっと強化・教育して、能力を上げれば、全体の能力を上げることが経験的に分かっているからです。

これが、いわゆる「改善(カイゼン)」と呼ばれる活動になります。

このボトルネックという考え方を世界的に有名にしたのは

「ザ・ゴール」(著エリヤフ・ゴールドラット)

という物語になります。

「ザ・ゴール」は主人公が工場の建て直しをする物語です。

「どうすれば、工場を最大限に活用して儲け続けられるか。」

ということをテーマに、ボトルネックを見つけて、それを最大限、働けるところまで引き上げることを目指しています。

そして、ボトルネックが精一杯働いて、限界がきたら、ボトルネックの能力をもっと上げるようにしよう、というストーリーでした。

「ザ・ゴール」の要点は、

・ボトルネックが全体のアウトプットを決めること
・ボトルネック以外はどんなにがんばってもムダになること

の2点になります。

くどいようですが、先ほどの工場の例でいえば、Aさん、Bさんがいくらがんばっても、Cさんがボトルネックなので、Cさん以上の最終生産量は望めません。

なので、Aさん、Bさんは、がんばるのをやめましょう、というのが極論になります。

このボトルネックを改善していく手順は次のようになります。

①ボトルネックを特定します(Cさんを特定します)
②ボトルネックを最大限活用します(Cさんを最大限働かせます)
③他を、ボトルネックに同期させます(Aさん、BさんをCさんの調子に合わせます)
④ボトルネックの能力を引き上げます(Cさんを徹底的に教育します)
⑤①に戻ります(再度繰り返して、Cさん以外のボトルネックを見つけます)

工場の例でいうと、もしAさんが必死に作り出すと、毎時間3個できます。

ところが、Cさんは毎時間1個しか処理できないので、2個は毎時間処理されずにたまっていきます。

これでは、作りすぎとなり、途中の在庫がどんどん増えてしまいます。

Aさん、Bさんは全力でがんばるのをやめ、Cさんに歩調を合わせるように手を抜くのが最適なのです。

これを「TOC理論」と呼んでいます。