「人に教える」

このように言うと、何か特別な経験やスキルが必要であるように考える人が多いと思います。

たしかに、特別な経験やスキルが必要なときもありますが、そうでないケースも結構あります。

私は、家庭教師に始まり、専門学校講師、コンサルタント、ブログ、電子書籍…等、人に何かを伝える仕事に携わってきました。

今でこそ、それなりにノウハウが蓄積されてきていますが、最初の頃は、どれも不安でいっぱいでした。

家庭教師のケース

まず、家庭教師です。

これは学生時代のアルバイトで経験しました。

見ず知らずの生徒の家に行って、勉強を教え、成績を上げる。

私は、家庭教師の仕事は、人に教えることができるレベルになるために、自分が必死で勉強しなければならない、と強く思い込んでいました。

このため、家庭教師に行く前に、小学生や中学生の科目の勉強をしていた時期もありました。

しかし、生徒それぞれに個性があるので、実際にやってみると、教えるイメージとはほど遠かったのを覚えています。

試験のテクニックなどを教えることは、ほとんどありませんでした。

成績を上げるというよりも、勉強するクセをつけさせる、つまり、一定時間(2時間)、机の前におとなしく座らせる、ことが目標となっていたことが多かった気がします。

最近の「お受験ブーム」からすると、想像しにくいかもしれませんが、指定された曜日の指定された時間、生徒と2時間、机の前で勉強をする。

このクセをつけさせることこそが、生徒の両親のニーズだったのです。

コンサルタントのケース

さまざまな会社にお邪魔して、さまざまなノウハウを教える。

これがコンサルタントの仕事であるとイメージしている人は多いと思います。

実際、そのようなケースもありますが、コンサルティング内容は多岐に渡ります。

クライアントである会社のメンバーからは、「先生」と呼ばれ、完全に「教える」スタイルをとっているコンサルタントもいますが、最近は、減ってきているように感じます。

コンサルティングの基本的なノウハウは、市販の書籍からでも学ぶことができるようになったからでしょう。

さらに、コンサルタントよりも、クライアントのほうが、圧倒的に業界事情に詳しいため、コンサルタントが先生ではなくなってきています。

クライアントから事情を聞いた上で、物事を整理し、取り組みを前に進めていく柔軟な能力が求められるようになってきました。

ただ、コンサルタントは、さまざまな業種・業態のクライアントと接してきていますので、他の会社ではこんな取り組みをしてきているという貴重な情報や経験は持ち合わせています。

それを、次のクライアントでうまく活用できるということは、コンサルタントの永遠の強みかもしれません。

教えるということ

コンサルタントは業種・業態の経験(失敗談を含む)をもっています。

このため、クライアントはそこに期待しているところもあります。

・自分たちの取り組みはそもそも方向性が間違っていないのか
・どのあたりでつまずきそうなのか

コンサルタントから指南してほしいと考えている経営層は多いのではないかと思います。

しかし、コンサルタント側からみると、特殊な能力があるわけではなく、単に、経験してきただけなのです。

自分が経験してきたことを、アレンジして、教えているように見せているだけなのです。

これを「教える」ことだとすると、やはり、経験や体験というものが「教える」ことの根底にあると思われます。

家庭教師の例もそうです。

勉強ができることだけでなく、さまざまな生徒の個性を把握し、柔軟に対応する。

こういった経験を積み重ねることが、うまく教えることに伝わるのでしょう。

つまり、人よりも先に、何かを経験・体験しておくと、いずれどこかで、その体験はノウハウに変化していくことが分かります。

コンサルタントだと、経験値が何かしらの方法論に変化を遂げるかもしれません。

このため「教える」ということに、特殊なスキルがいると躊躇しないほうがいいと、個人的には思っています。

人より、少しでも先に体験していれば、それは、体験していない人に対しては、充分なノウハウになっているのです。

あなたも、自信をもって、あなたの体験を誰かに発信してみることから初めてみませんか?