私の職業はコンサルタントです。

職業柄、会話のテクニックとして、答が分かっていて、わざと質問風に尋ねることがあります。

日本で2番目に高い山が「北岳」であることを分かった上で…

私「日本で2番目に高い山ってどこなんでしょうね?」
相手「うーん。1番高い山なら分かるんですけどね。」
私「そうなんですよ。知っていたらネタになるんですけどね…。」

すると、相手は、かなりの確率で調べてきてくれます。

相手「分かりましたよ。日本で2番目に高い山は”北岳”という山だそうです。」
私「さすが、○○さんですね。北岳…私も覚えておきます。」

何気ない会話ですが、私が「日本で2番目に高い山は北岳ですが…」と先に言ってしまうと、記憶に残らないケースが多いのです。

そこで、わざと知らないフリをして、ワンクッションをおくことで、お互いの記憶に定着させていく狙いがあるのです。

上記は簡単な質問ですので問題ないですが、注意しないといけないのは、自分が答や方向性をもっておかないと、場が発散してしまうリスクもあります。

このため、コンサルタントと言われる人たちは、さまざまなシナリオを事前に想定し、ある程度、議論の方向性を見極めてから打ち合わせに臨みます。

何もやっていないように見えますが、この事前準備はとても重要なことで、80%以上のパワーを費やしているといっても過言ではありません。

答がひとつだけ決まる簡単なケースは少なく、ほとんどが混沌とした状況の中、方向性を見出していくものになるので、かなりの思考が必要となります。

ここに「コンサルタントの醍醐味」といえる楽しさがあるんですが。

逆に、職業上、あまり使わない言葉もあります。

「無理です。」

という言葉です。

これは、私の中では、代表的な思考停止ワードとなっています。

この言葉を言われた瞬間、お互いの会話も思考も止まってしまいます。

先日、私は、ある不動産屋に、次のように尋ねました。

「○○の手続きをしたいので教えていただきたいんですけど。」

もちろん、○○の手続きの方法は、事前にネットで入念に調べた上で、最善な方法を把握していました。

すると、不動産屋は、

「無理です。」

と言ってきました。

○○の手続きは面倒なので、係わりたくなかったのだと容易に推察できました。

そこで私は、

「そうなんですか。いや、困ったなぁ。この手続きは、税理士から教わった方法で、XXさんもやっていましたよ。」

すると、不動産屋は、急に態度を変えました。

「担当の者に確認してみますので、折り返し、電話してもよろしいでしょうか。」

その後、○○の手続きは円滑に進むことになったことは言うまでもありません。

事前に、私が調べていなかったら、「無理です。」と言われたら、「分かりました。」と引きさがっていたことでしょう。

事前の準備が功を奏した形です。

この「無理です。」という言葉。

否定100%用語ですが、世の中に100%はなかなか存在しません。

たとえ100%言葉であったとしても、聞いている側としては、代替案を教えて欲しいんですよね。

勧誘のお断りなど、明確に拒絶する場面であればいいです。

しかし、解決策を模索している場で「無理です。」と回答するのは、その人が、思考そのものを拒絶しているようにも思えます。

せめて、「XXがあれば可能なんですが。」のように、前に進める余地を残した言葉を使ったほうが、相手にとっては好印象だと思っています。

「できない」と拒絶することや、できない理由を考えることは、建設的ではありません。

どうやったらできるのかを考えるほうが、建設的でおもしろいと思いませんか。